相続が開始すると、亡くなった方の財産は、法律で定められた相続人が引き継ぎます。この財産には、現金や預貯金、不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローン、未払いの税金などのマイナスの財産も含まれます。財産を調査した結果、プラスの財産よりもマイナスの財産が多いことが判明する場合もあるでしょう。
借金を相続したくない場合は、相続放棄という選択肢があります。以下の3つの相続方法から、ご自身に合った方法を検討しましょう。
3種類の相続方法
- 単純承認…プラス・マイナスの財産すべてを相続する方法
- 相続放棄…プラス・マイナスの財産すべてを放棄する方法
- 限定承認…プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を相続する方法
| 相続放棄の期限
亡くなった方の財産を十分に調査せずに「マイナスの財産はない」と思い込み、期限後にマイナスの財産が見つかるケースや、遺産を売却してしまい単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなるケースがあります。
相続放棄の期限内であっても、単純承認とみなされる行為があれば、相続放棄を選択することはできません。相続方法を決定する前に、やってはいけないことを把握し、準備をしっかり行うことが大切です。
⚫︎相続人の調査
民法では、亡くなった方の財産を相続する権利がある人(法定相続人)とその順位が明確に定められています。法定相続人を確定させるためには、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集める必要があります。戸籍謄本は、相続放棄の申述時にも必要です。
⚫︎財産の調査
相続方法を決定する上で重要なのは、亡くなった方の財産調査です。亡くなった方が生前に所有していたプラスの財産とマイナスの財産の全体像を明らかにします。借入金や税金の未払金、保証債務まで徹底的に調査しましょう。
亡くなった方が遺言書を作成していない場合、すべての相続人で財産の分配方法について話し合い(遺産分割協議)を行う必要がありますが、一般的に、この遺産分割協議を行うと、単純承認したものとみなされる可能性が高く、相続放棄を選択できなくなる恐れがあります。相続方法を決定する前に徹底して財産調査を行い、慎重に相続方法を考えましょう。
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