相続財産の分割方法を決める「遺産分割協議」の手順
相続が発生した場合、亡くなった方の財産は、原則として全ての相続人の共有となります。この共有状態の財産を具体的に分割する方法を決定するため、相続人全員で行う話し合いが「遺産分割協議」です。
ここでは、遺産分割協議の進め方について詳しく解説します。
| 遺産分割協議の手順
01. 遺言書の有無を確認
まず、故人の遺言書があるかどうかを確認します。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って財産が分割されますので、相続人全員での遺産分割協議は不要となります。
02. 相続人と相続財産の調査
遺言書がない場合は、遺産分割協議の準備として、相続人と相続財産の調査を行います。
⚫︎相続人の確定:故人の出生から死亡までの戸籍謄本を全て集め、法定相続人を確定します。
⚫︎相続財産の調査:故人が所有していた財産を調査します。プラスの財産(不動産、預貯金など)だけでなく、マイナスの財産(借金など)も把握することが重要です。
03. 遺産分割協議の実施
確定した相続人と相続財産をもとに、具体的な分割方法について話し合う遺産分割協議を行います。
⚫︎分割方法の決定:現物分割、換価分割、代償分割など、様々な分割方法の中から適切な方法を検討します。
⚫︎合意形成:全ての相続人が納得するまで話し合い、合意形成を目指します。
⚫︎遺産分割協議書の作成:合意内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。相続人全員が署名・捺印することで、遺産分割協議が成立します。
04. 相続財産の分割方法
⚫︎現物分割:不動産や株式などの現物をそのまま分割する方法
⚫︎換価分割:相続財産を売却し、得られた金銭を分割する方法
⚫︎代償分割:特定の相続人が財産を取得し、他の相続人に対して代償金(相当額の金銭)を支払う方法
| 遺産分割協議の注意点
⚫︎全員参加:一人でも欠席した相続人がいる場合、遺産分割協議は無効となります。
⚫︎代理人の選任:未成年者や判断能力が不十分な相続人がいる場合は、代理人を立てる必要があります。
⚫︎期限:遺産分割協議自体に期限はありませんが、相続税申告・納付には10ヶ月の期限があります。期限を超過するとペナルティが発生する可能性があるため、注意が必要です。
〈 その他 〉
⚫︎遺産分割調停:話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることも可能です。
⚫︎専門家への相談:弁護士や税理士などの専門家に相談することで、スムーズな遺産分割協議を進めることができます。
まとめ
遺産分割協議は、相続人全員が協力して行う必要があります。適切な分割方法を選択し、期限内に手続きを完了させるために、早めに準備を始めましょう。
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