相続の対象となるのは、預貯金や不動産、株式といったプラスの財産だけではありません。借金やローンなどのマイナスの財産も、プラスの財産と同様に相続人に引き継がれます。相続によって多額の負債を抱えないためにも、負債調査をしっかり行うことが大切です。
| 相続の対象となる負債
一般的に、以下の負債は相続の対象となります。
- 住宅ローン
- 未納付の税金
- クレジットカードローン
- 消費者金融からの借入
- 個人間の借金
- 連帯保証債務
- 未払いの水道光熱費や携帯電話料金など
ただし、住宅ローンの契約時に団体信用生命保険(団信)に加入している場合、契約者が亡くなると住宅ローンは保険金で完済され、相続人が返済する必要はありません。金融機関での手続きが必要となるため、住宅ローンが残っている場合は団信への加入状況を確認しましょう。
⚫︎クレジットカードローンや消費者金融の調査方法融の調べ方
クレジットカードローンや消費者金融などの負債残高は、亡くなった方の信用情報を調査することで把握できます。信用情報機関では、クレジット利用履歴やローン情報が管理されており、相続人は手続きを行うことで登録された情報を取得できます。信用機関は主に以下の3種類があり、すべて調査することをおすすめします。
【1】JICC(日本信用情報機関)
信販会社や消費者金融の情報が登録されています。窓口または郵送で請求できますが、現在は窓口での受付は停止されています。
【2】CIC(シー・アイ・シー)
一部の信販会社やクレジットカード会社の情報が登録されています。窓口、郵送、インターネットでの開示請求が可能です。
【3】KSC(全国銀行個人信用情報センター)
銀行や銀行系カード会社、信用金庫の情報が登録されています。郵送またはインターネットで開示請求できます。
信用情報を取得する際には手数料がかかります。支払い方法は各機関のウェブサイトで確認しましょう。
なお、個人間の借金や未払い料金、未納付の税金などは信用情報機関では把握できません。これらの負債については、自宅に残された契約書や請求書などを確認する必要があります。
| 相続放棄や限定承認の検討
負債調査の結果、多額の負債がある場合や負債総額が不明な場合は、相続放棄や限定承認を検討しましょう。
⚫︎限定承認:プラスの財産を上限としてマイナスの財産を相続する方法です。負債額が不明な場合や、どうしても相続したい財産がある場合に検討されます。
⚫︎相続放棄:プラスの財産とマイナスの財産すべてを放棄する方法です。負債額があまりにも大きい場合に検討されます。
負債調査には時間がかかりますが、相続放棄や限定承認には期限があり、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。期限内に調査が終わらない場合は、相続放棄の期間延長を申し立てることも可能です。
相続に関する手続きは複雑で専門知識が必要となる場合もあります。必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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